Report | 2024.04.10 up

35th International Symposium on ALS/MND 2023 にて発表しました。

 2023年12月6日~8日、コロナ禍以降、実に4年ぶりとなる国際シンポジウムが、スイス・バーゼルで開催されました。久しぶりの海外出張に、パスポートが切れていたり、(円安の影響もあり)航空運賃、宿泊費ともに高騰し、大変なことがいくつもありましたが、現地へと駆り立てる必然がありました。それは、長年協働している米国オハイオ州ALSコンサルトナースのパメラさんの演題が口頭発表で採択されたこと、そのご縁で、北米ALSコンソーシアムの呼吸ケアワーキングの会合が開かれること、研修生の澤田樹里さんが、近くのフライブルク(ドイツ)に留学中であること、日本から認知症プロジェクトリーダー長谷川成人先生の招待講演があること、そして、人工呼吸器ユーザーである高野元さんが、2演題採択されたことなど、現地でしか味わえない体験がいくつもあったことでした。

 これらの必然を抱え、導かれるように、いざ出発しました。鉄道が充実しているスイスならではの行程で、チューリッヒからバーゼルまでは、鉄道を利用することになりました。まず、第一のハプニングが襲います。チューリッヒ空港駅からバーゼルまでの直通列車と聞いていたのですが、いざ、指定されたはずの列車に乗車すると、Lからはじまる行先で(Luzernだったと思います)BaselのBはどこににも書いていません。おかしいな、と思いながらも乗車し、到着時間になったら下りればとも考えたのですが、近くの乗客に聞いたら、やはり、Baselには、行かないとのこと。慌てて次の駅のチューリッヒ中央駅で下車し、さて、どうしよう。。。と思っていたら、見知らぬ女性に「ALSMNDの学会に行くの?バーゼルの列車は何番線?」と声をかけられました。私も探していると答えると、近くの駅員さんに聞いてくれて、5分後に12番線から出発することがわかり、一緒に走って列車に間に合うことができました。彼女はカナダから来た学会参加者で、私が持っていたポスターの筒をみて声をかけてくれました。こんな一期一会に支えられ、無事に会場まで到着することができました。

   


 バーゼルは、フランスとドイツの国境の都市で、スイスで3番目に大きな都市です。宿舎と会場の往復で、観光はできませんでしたが、街の中心をライン川がゆったりと流れる悠然な景色に、theヨーロッパという感じの中で、4年ぶりの現地開催となり、世界中の方たちが、再会を喜び合い、活気に満ちたものでした。特に治験の会場は立ち見であふれるほどでした。また、クロージングセレモニーでの核酸医薬による症状改善がみられた本人の登壇は、ALSが治療可能となる時代を想像させる感動的なものでした。

来年は、カナダ、モントリオールです。そこでの再会を願いながら、帰国の途に就きました。

「Comparing Survival and Outcomes  of Patients with ALS/MND Using Tracheostomy and Invasive Ventilation (TIV) in Tokyo, Japan and Midwest USA」
Yuki Nakayama (1), Pamela A. Cazolli (2), Chiharu Matsuda (1), Michiko Haraguchi (1) Yumi Itagaki (1), Juri Sawada (1), Kota Bokuda (3), Kentaro Hayashi (3), Ryo Morishima (3), Toshio Shimizu (3)
(1) Unit for Intractable Disease Nursing Care, Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science, Tokyo, Japan.
(2) ALS Care Project, Canton, Ohio, USA.
(3) Department of Neurology, Tokyo Metropolitan Neurological Hospital, Tokyo, Japan.